06/14,
2020
眼の奥の痛み
頭痛の中で、眼の奥の痛みで受診される患者さんに、日常的に支障きたすほどのつらい痛みを訴える方がしばしば見受けられます。痛みに伴って、眼が充血したり、涙が出たり、鼻が詰まったりする症状を伴っていると群発頭痛の可能性があります。しかしながら、それらの症状がないけど、結構つらく、時に眼をつかまれるような痛みさえ感じる場合に診断がしばしば難しいことがあります。ルーチンの神経検査で眼の瞳孔はいつも見ますが、瞳孔(ひとみで、カメラの絞りに相当します)が開いている場合には急性緑内障の発作があり得ますので、すぐに眼科受診が必要になります。また、脳のMRIで副鼻腔の炎症があり、これが原因のこともあります。しかし、何といっても診断が難しいのは帯状疱疹による三叉神経障害でしょう。三叉神経は額、ほほ、あごに分布する3本の神経が顔面の感覚を脳に伝える役割を担いますが、帯状疱疹に侵される神経は額に分布する1番目の神経が多く、これが眼の奥の痛みと感じることになります。診断がしばしば難しいのは痛みの出る時期に皮疹(水疱、膨隆疹など)がないことがしばしばあるからで、数日から1週間後あたりに皮疹がでて、はじめて帯状疱疹とわかることがあります。皮疹がなくとも経過と所見から帯状疱疹が疑わしいときは皮膚科の先生に紹介して見ていただくと、わずかに丘疹がありましたとの返事をいただくことがありますが、さすが専門医と感服します。頭痛診療は決して狭い分野ではないことを痛感しています。