脳神経外科 ふくおかクリニック

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【41】頚部頚動脈エコーで「狭窄があります」と言われたら

―数字だけで心配せず、脳梗塞が起こる仕組みを知りましょう―

頚部頚動脈は、心臓から脳へ血液を送る大切な血管です。エコー検査で「プラークがあります」「狭窄率は75%です」と聞くと、「すぐに脳梗塞になるのでは」「手術が必要なのでは」と不安になる方も多いでしょう。

しかし、狭窄率は一つの数字だけでは判断できません。まず知っていただきたいのは、測り方によって数字の意味が違うということです。

同じ血管でも、測り方によって狭窄率が変わります

当院で主に説明に用いている「面積法」は、血管を輪切りにして、断面のうちプラークが占める割合を調べる方法です。プラークの広がりが分かりやすい一方、狭窄率は大きめの数字になります。

高度狭窄で、手術やステント治療が必要かどうかの目安には、主にNASCET(ナセット)法を使います。これは、最も細くなった部分の内径を、その先にある正常な内頸動脈の内径と比べる方法です。

NASCET法の狭窄率
=〔1-最も細い部分の内径÷その先の正常な血管の内径〕×100

例えば、正常な部分が6ミリ、最も細い部分が3ミリなら、NASCET法では50%狭窄です。

血管を単純な円として考えると、面積法で75%でも、径でみるとおよそ50%に相当します。これが面積法の狭窄率が大きめになる理由です。ただし、NASCET法とは基準にする血管の場所が異なるため、厳密な換算ではなく、およその目安です。面積法で75%と表示されても、それだけで治療が必要な高度狭窄とは限りません。

当院では面積法、NASET法だけでなく、狭い部分を流れる血液の速さや、プラークの形や症状の有無を合わせて判断しています。

プラークから脳梗塞が起こる仕組み

プラークは、コレステロールなどが血管の壁にたまってできた動脈硬化のかたまりです。大きくなると血液の通り道を狭くしますが、脳梗塞の原因は「血管が細くなること」だけではありません。

血小板は、本来、血管に傷がついたときに集まり、出血を止める役割を持っています。ところが、プラークの表面がでこぼこしたり傷ついたりすると、そこにも血小板が集まり、「血栓」という血のかたまりを作ることがあります。

その血栓やプラークの一部がはがれて脳へ流れ、細い脳血管をふさぐと脳梗塞になります。

抗血小板薬は、一般に「血液をサラサラにする薬」と呼ばれますが、正確には血液を薄める薬ではありません。血小板が集まって血栓を作る働きを抑える薬です。そのため、プラークの表面に血栓ができ、それが脳へ飛ぶのを防ぐ目的で使います。

ただし、プラークを小さくしたり、狭い血管を広げたりする薬ではありません。また、血栓を防ぐ一方で、胃腸や脳などからの出血を起こしやすくするため、服用するかしないかの判断は慎重にする必要があります。

症状のない狭窄は、まず動脈硬化を進ませないことが大切です

症状のない軽度から中等度の狭窄では、多くの場合は、血圧、悪玉(LDL)コレステロール、血糖の管理、禁煙、運動などが治療の中心です。定期的にエコーを行い、狭窄やプラークが変化していないかを確認します。

NASCET法で70%以上の高度狭窄が疑われる場合には、MRAやCT血管撮影などで詳しく調べます。

高度狭窄があり、さらに糖尿病、脂質異常症、高血圧、喫煙歴などが重なっている方や、心臓や足の血管にも動脈硬化性の病気がある多くの方では、すでに降圧剤、スタチンなどの内科的治療がされていますので、全身の血管の状態を考え、抗血小板薬を追加した治療を検討します。

その際には、脳出血や胃腸出血、胃潰瘍、貧血などがないかを確認し、脳梗塞を防ぐ利益と出血の危険を比べて、一人ひとり判断します。

無症候性の高度狭窄でも、プラークの状態、年齢、全身状態などを検討し、治療による利益が大きいと判断された場合に、プラークを取り除く頚部頚動脈内膜剥離術や、血管の内側から広げるステント治療を考えます。

この症状は、治っても待たないでください

片方の目が突然見えにくくなる、顔や手足の片側が動かしにくい・しびれる、言葉が出ない、相手の話が理解できない――このような症状は、頚部頚動脈から血栓が脳へ飛んだサインかもしれません。

数分で治っても、一過性脳虚血発作の可能性があります。症状を伴う頚部頚動脈狭窄症では、NASCET法で50%以上から手術を検討し、70%以上ではその必要性がさらに高くなります。

症状が出た直後は再発しやすいため、治っても様子を見ず、直ちに救急受診してください。

頚部頚動脈狭窄症は、一つの数字だけで怖がる病気ではありません。狭窄率の測り方、血流、プラークの状態、全身の動脈硬化、そして症状(症候性かどうか)を一緒に考えることが、適切な予防と治療につながります。

 

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