脳神経外科 ふくおかクリニック

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【45】頭が重い、締めつけられる

なぜ首や肩の痛みを「頭痛」として感じるのでしょうか―

緊張型頭痛はどのような頭痛でしょうか

頭痛外来で最も多く診る頭痛の一つが、緊張型頭痛です。

片頭痛では、ズキズキと脈打つように痛み、体を動かすと悪化し、吐き気や光・音のつらさを伴うことがあります。一方、緊張型頭痛は、後頭部から首すじを中心に、両側のこめかみや頭全体が重い、帽子や鉢巻きで締めつけられるように痛む、と表現されることが多い頭痛です。

拍動する感じは乏しく、歩いたり階段を上ったりしても、痛みが極端に強くなることは通常ありません。数時間から数日続き、長い方では一週間近く、慢性型ではほぼ毎日のように重さが続くこともあります。

「緊張型」という名前から、精神的に緊張した時だけ起こる頭痛と思われがちですが、そうではありません。長時間のパソコンやスマートフォン、同じ姿勢、睡眠不足、歯の食いしばり、心身の疲れなど、いくつもの要因が重なって起こります。

多くの場合、MRIで脳に原因となる異常は見つかりません。それでも痛みは、決して気のせいではありません。

首の痛みが、なぜ頭痛になるのでしょうか

頭や顔の感覚は、主に「三叉神経」という神経が伝えています。一方、後頭部や首の上の方の感覚は、「大後頭神経」など、首から出る神経が伝えます。

この二つの神経は、まったく別々に働いているように見えます。しかし、脳幹から首の上部にかけて存在する、共通の「痛みの中継所」へ信号を送っています。医学的には「三叉神経頸髄複合体」と呼ばれる場所です。

たとえるなら、頭から来る電車と、首から来る電車が、同じターミナル駅に入るようなものです。

首や肩、頭の周囲の筋肉や筋膜から痛みの信号が続いて入ると、中継所では、その信号が首から来たのか、頭から来たのかを細かく区別しにくくなります。そのため、首すじや後頭部から始まった痛みを、頭全体の重さや、頭の奥の痛みとして感じることがあります。

人を対象とした研究でも、三叉神経と大後頭神経の感覚は、脳幹の中で互いに影響し合っていることが示されています。

「痛みの音量」が上がることもあります

さらに頭痛を繰り返すと、この中継所の「痛みの音量」が少しずつ上がり、以前なら気にならなかった程度の刺激まで、痛く感じることがあります。これを医学的には「中枢感作」と呼びます。

初めは首や肩の負担がきっかけでも、長く続くうちに神経の痛みの仕組みそのものが過敏になり、頭痛が治りにくくなることがあるのです。

反対に、頭痛が続くために、首や肩まで痛くなる場合もあります。緊張型頭痛は、単に「肩こりが頭へ移った病気」ではなく、首と頭の痛みを一緒に扱う神経回路が関係した頭痛と考えられています。特に慢性型では、首や肩からの刺激だけでなく、神経の中枢側で痛みを抑える働きが弱くなっている可能性も指摘されています。

首と頭の両方にやさしい生活を

対策の第一歩は、首や肩への負担をため込まないことです。

パソコンやスマートフォンは時々休み、画面の高さを整え、同じ姿勢を長く続けないようにしましょう。首を強くもんだり、無理に鳴らしたりせず、肩甲骨や背中も含めてゆっくり動かすことが大切です。筋肉は優しくしてあげてください。痛むマッサージは逆効果です。軽い散歩や入浴で体を温めることも役立ちます。

睡眠のリズムを整え、知らないうちに歯を食いしばっていないか、疲れやストレスを抱え込みすぎていないかに気づくことも大切です。運動や姿勢の見直し、首や肩に対する理学療法は、特に筋肉の圧痛や動かしにくさがある方に役立つことがあります。

痛み止めは必要な時に役立ちますが、使用する日が増えすぎると、かえって頭痛が続きやすくなることがあります。

頭痛が頻繁に起こる方や、ほぼ毎日のように続く方では、鎮痛薬を繰り返すのではなく、痛みを感じやすくなった神経の働きを整える薬を少量用いることがあります。

 

頭痛のあった日、続いた時間、特に薬を飲んだ日を簡単に記録しておくと、治療の手がかりになりますのでお薦めします。

ただし、突然始まった強い頭痛、今までにない頭痛、手足のしびれや力の入りにくさ、発熱、繰り返す嘔吐を伴う場合は、緊張型頭痛と決めつけてはいけません。早めに医療機関を受診してください。

「MRIで異常がないのに、なぜこんなに痛いのだろう」と、不安になる方もいらっしゃいます。

痛みには、画像には写らない神経の働きが深く関係しています。原因を一緒に整理し、首と頭の両方にやさしい生活を重ねることで、改善への道筋が見えてきます。

 

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