02/23,
2021
アルツハイマー病予防薬
認知症の6-7割を占めるアルツハイマー型は症状が出る10-20年前からアミロイドβ(ベータ)というごみのようなたんぱく質が蓄積し、脳の神経細胞が損傷をうけて、短期の記憶障害、場所や時間がわからなくなるなどの症状が出ます。いままでアミロイドβ(Aβ)の除去を狙った薬剤の治験は相次いで失敗に終わっています。このためにAβが十分蓄積した後ではすでに効果がない(Aβが原因という仮説はほぼ正しいと思われています)という考え方から、発症前のAβの蓄積がみられる(PET検査で分かります)無症状の55-80歳の男女を対象に4年間にわたりBAN2401(Aβ凝集体のヒト化モノクロナール抗体)を投与する治験が日本でも始まりました。現在抗認知症薬として使用されているドネペジルを開発した日本の製薬メーカーのエーザイが開発した薬剤です。直す薬剤として治療効果が確認できれば画期的なことになります。Aβの蓄積はPET以外にも採血などの簡便な方法で知ることができるようですが、現在的には治療に結び付くわけでもなく、あと4-5年治験の結果を待つのみです。
先日行われた認知症学会のセミナー(WEBでした)では、日常的に私達が今できること、「脳を守る」ために1.血圧の管理2.脂質(コレステロール、中性脂肪)の管理3.血糖の管理4.禁煙が大切であることが強調されました。認知症の発症にはアルツハイマー型が100%というわけでなく、上記4つの因子のコントロール不足による血管性の要素が多分に含まれており、きちんとコントロールできていれば発症を遅らせる(発症前に天寿を全うできる)ことが報告されています。頑張りましょう。