01/17,
2021
片頭痛薬の最近の動向
皆様今年もよろしくお願いいたします。
昨年の2月3日に「CGRPを標的にした新しい片頭痛治療薬」の題目で新薬の解説をしました。現在の治療薬であるトリプタンが有効でなかったり、副作用で服用できない患者さんにとっては新薬を一日千秋の思いで待っていることと思います。
このあたりの新しい情報が学会よりメールありましたので報告します。
まず抗体薬としての皮下注射用製剤ですが、日本での治験はすでに終了しており、本当に「近々」発売になるようです。この皮下注射は月に1度ですが、将来的にこれから治験開始となる静脈注射薬の認可が下りれば、3か月に1度の投与で済むことになり更に期待できます。
また、CGRP受容体拮抗薬である経口薬のgepant製剤も欧米で発売となっています。すでに日本での治験も進められて入り、薬の服用で済むことから大いに期待できるところです。
さらに、トリプタンは血管収縮作用があるために、心筋梗塞、脳梗塞の既往のある患者さんには投与できませんが、血管収縮作用を持たない新薬(Lasmiditan)の開発も済み、治験は日本ですでに終了しており、近い将来楽しみです。
多くの片頭痛の患者さんは強い痛みのために日常生活に支障きたしており、トリプタンにより劇的に生活の改善が得られてますが、まだ網の目から漏れた患者さんにとって、新薬の登場により久々に「4半世紀に1回の大変革」(頭痛学会代表理事の平田紘一先生)の時期を迎えているようです。また、新しい情報が入りましたらご報告します。