03/15,
2020
可逆性脳血管攣縮症候群
頭痛の強さを表す表現として、雷鳴頭痛という、急性発症の激しい痛みがあります。突然今まで経験したことのない強い頭痛で、一番知られているのはクモ膜下出血でしょう。多くの場合、血管に瘤がありそれが破裂することにより起きます。命にかかわる病気なので、救急車で脳神経外科がある病院にできるだけ早く運んでいただくのがベストです。しかしながら、担当医より「出血はありませんでした。」ということで、帰宅になることがあります。 今回はその雷鳴頭痛をきたす病気で知っておくべき可逆性脳血管攣縮(れんしゅく)症候群((Reversible Cerebral Vasoconstriction Syndrome: RCVS、以下RCVSとします)についてお話します。きっかけは入浴、トイレ、運動、いきむ動作などにより激しい頭痛が誘発され、繰り返し起きるのが特徴です。MRIで頭蓋内には明らかな出血はなく、MRA(脳血管撮影)で動脈瘤もありません。ただ脳血管がところどころ縮んでいる(攣縮)所見がみられます。ただ、発症後ごく初期にははっきりと縮んだ所見が見られないこともあり、1回の検査で正しい診断ができるとは限りませんので、繰り返し検査を受ける必要があります。一般的にRCVSで繰り返す頭痛は数週間続き、MRAでの血管攣縮も3か月ほどで元に戻ります。注意しておくべきは、経過中に脳内出血、脳梗塞などを併発することがありますので、数か月間は注意深く診てもらう必要があります。片頭痛は血管の拡張が一因ですが、RCVSのように血管が縮むのも頭痛の一因となりえますので、頭痛の原因は複雑ですね。