頭痛は日常的によく経験される症状の一つです。多くは生命にかかわらない良性の頭痛ですが、ときにくも膜下出血、脳腫瘍など放置すると生命にかかわるこわい頭痛があります。これらを正確に診断して、治療方針を迅速に決定することが何より大切と考えております。
突然、頭をハンマーで殴られたような痛みがおきます。今まで経験したことのない痛みが、急に起きた場合には、この病気を考える必要があります。原因は多くの場合は脳の動脈にコブがあり、それが破裂しておきます。痛みの程度は出血の程度により様々で、当院の外来で頭痛にて受診され、よく聞くと急にガーンと痛くなったというエピソードあり、検査にて脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血がわかり手術となった患者さんが数名います。急な頭痛の場合は、痛みの程度が大したことがないので様子見ようとは思わず、すぐに受診されることが大切です。
脳を栄養する4本(左右2対で頚動脈と首の後ろ側を走る椎骨動脈があります)のうち、脳幹部、小脳、後頭葉を主に栄養する血管が椎骨動脈です。稀にこの血管壁が何らかの原因で急に裂けると、後頭部やうなじ周辺に経験したことがない強い痛みが生じます。裂けた血管壁が血管を詰まらせ脳梗塞をおこしたり、くも膜下出血を起こすこともあります。普段は頭痛持ちではないのに、後頭部付近に急に痛みを覚え、仕事や家事を休まなければならないほどであればすぐにでも受診をお薦めします。
転倒したりして、頭をぶつけた後に1-2か月たってから少しずつ脳と硬膜の間に血がたまる病気が慢性硬膜下血腫です。特に加齢などで脳が縮み隙間ができてくる70歳以上に多く見られます。打撲の程度は強くぶつけたというわけでもなく、こつんとぶつけた程度でもおきえますので、頭重感が取れない、すこしずつ強くなってくるなどの症状がありましたらためらわず受診してください。
もっとも一般的にみられる緊張型頭痛(いわゆる肩こり頭痛)は後頭部から重くしめつけられる痛みが始まり、頭の横や前に広がります。この頭痛は、首・頭の後の筋肉の疲労から起こります。
また、人口の8%を超える方がもっているといわれる片頭痛は、頭部の片側がズキズキ痛むことが特徴ですが、ときに典型的な症状をとらず、診断が難しいこともあります。
これらの頭痛をもつ多くの方は、市販の頭痛薬を漫然と使い、なかなか治らなかったり、きちんと診断されないまま、薬の飲みすぎでさらに痛みをこじらせたりしています。
当クリニックでは的確な診断のもとにそれぞれの頭痛に応じた適切な治療薬の処方と日常生活での指導を通じて患者さんの生活の質の向上に貢献したいと考えております。