ぐるぐるまわる、ふわーっとする、ふらつく等様々な症状があり、時にパニックに陥りそうな激しい症状がくることもあります。これらの症状は内耳に原因のある末梢性のめまいと脳に問題のある中枢性のめまいに大別されますが、当院ではまずこれらをきちんと区別して、その原因と対処法について詳しくご説明いたします。
代表的な疾患としては聴神経腫瘍です。バランスをつかさどる前庭神経の鞘(神経という電線を包むゴムのようなもの)から発生する良性腫瘍で、めまい、聴力障害などを引き起こします。内耳道に限局しているときには、MRI検査でも特殊な方法で検査しないとよくわからないこともあります。中村記念病院でガンマナイフによる500余名の聴神経腫瘍の治療に携わり、多くの方がその初発症状としてめまいを経験し、それが見過ごされてきたことを見てきましたので、MRIでのチェックも大切と考えております。
小脳、脳幹などの脳梗塞でもめまいが起きます。神経所見のみでは診断はときに難しく、発症後数時間以内という急性期にはMRI検査でも拡散強調画像(発症して1-2時間の脳梗塞を検知できます)でチェックする必要があります。めまい以外にふらついてまっすぐ歩けない、しびれるなどの感覚がおかしいなどの症状にもご留意ください。
立ち上がった時にふらっとし、時には気が遠くなったり、失神したりします。通常は自律神経の働きにより立ち上がっても血圧の低下はなく、脳血流も保たれるのですが、その働きがうまくいかず、低血圧になり、「脳貧血」を起こします。脱水などが起因となっていることもあります。
症状としては「朝起きるとぐるぐる回るめまいがしてまともに歩けない、ベッドに戻りじっとしているとめまいは収まってゆくが、動こうとするとまためまい発作が起きる。昨日までは何ともなかったのに。」というエピソードが典型的です。原因は内耳にある耳石の一部が、老化や衝撃によってはがれて三半規管に入ることで、感覚毛が誤作動を起こし、激しいめまいを起こします。耳石のかけらを落とす方法としては、Epley法、Semont法などがあります。これらの手技で落ちない場合にも、繰り返して施行することで成功率は高くなります。また、自宅ではごろごろ体操が有効な場合があります。。
バランスをつかさどる前庭神経の炎症で起きるめまいで、前駆症状として風邪症状があることが多く、ウイルス感染も一因と考えられています。強いめまいが良性発作性頭位めまい症と違い、じっとしていてもおさまるわけではありません。
激しい回転性めまいが数時間から数日つづき、吐き気、嘔吐を伴います。片方の耳が詰まった感じで聞こえにくくなることも起きます。このような発作は繰り返し起きます。